One Of A Kind

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椎名林檎というレメディ

先日深夜番組を見るでもなくただつけていたところ、椎名林檎と言う単語が聞こえて来た。

 

テレビ画面にはカラオケで椎名林檎を歌う女はエロいと言う事についてかなり熱弁している男性がいた。ぼんやりとしか覚えていないのだけど、みんなで一緒に縦ノリできるような曲ではなく聴かせるための技術力が必要な歌、ましてや歌詞もライトではない彼女の曲をカラオケで狙って歌うような女性はエロい、と。

 

一緒に出てた女性ゲストも「…たしかに」みたいになってる。私もテレビに向かって「…たしかに」みたいになる。

 

言われてみれば、(意識しあう)男女が混合でカラオケをしているときに椎名林檎の曲を歌う人は女性だけ、もしくはもう気心知っててすっぴんでも平気ですみたいな男女混合グループでカラオケに行く時よりも少ないような気がする。

それってエロいからなのか?そうなの?椎名林檎の曲はむやみやたらに歌ったらいけないルールが私が知らない間に日本国に制定されてたの?よくわからないけどそうなの?

 

てゆうかそもそもエロいってなに?

エロいって、エロスから派生した日本語(といっていいのかわからないけど)ですよね?

性的なことに使われることが多いけどそもそもエロスって確か愛とかそういう意味じゃなかったっけ?

 

人はカラオケに行ったら歌いたい歌を勝手に歌えばいいのでむやみやたらに椎名林檎を歌っていいのかいけないのかは置いておくとして(私は勝手に歌わせていただきますので関係ない)、なんで椎名林檎という人の歌が(万人とは言わないが)刺さる人にあり得ないぐらい刺さるのか、ということをぼんやりと考えてたんです。

 

椎名林檎って、とても特徴のある声を持っていて、歌はもちろん上手くて、独自の世界を築き上げ、めちゃくちゃ綺麗で色っぽくて、かなり稀有な存在だと思うのですが、生き馬の目を抜く芸能の世界、他にもそういう歌手の方っていると思うんですよね。人によって好みって違いますし。

 

そんな感じで自分の中の何がそんなに椎名林檎に惹かれているのかの答えが出ないままでいた時、Apple Musicから流れてきた「長く短い祭」を聞いて、ああああああ!!!!!って。

 

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この曲、「私が思う」椎名林檎を非常に表してる曲なんです。

 

抑えられない狂気が溢れて止まらなくなりそれが踊りとして湧き出る、その様は目が離せないほど美しい。人が生きているというその事実、それだけで芸術なんだ、とクラクラするぐらいの強烈さで主張する。(法律違反はダメですけど)

 

 

人って誰しも狂気を持ってるはずなんだと思うんですよ。狂気という言葉で表す、熱狂だったり、狂乱だったり、熱意だったり、深すぎる愛だったり。なんにせよ止められないほどのほとばしる思いが。その狂気の方向性は、恋愛だったり仕事だったり趣味だったりと、人によって違うから自分と走る方向性が違う他人を見ると「狂気」としか表現しようがないけど。でもたぶんみんな持ってる。

 

そして人はその、みんな平等に、でも違ったベクトルに内包している「狂気」をあやしながら社会生活を送るわけで。「狂気」は24時間いつでも全力でエンジンかかってあるものではないじゃなくて、何かのスイッチが入ると止められなくなるもの、普段は認識しながらも自分の中に飼いならしている存在で。

 

でも、たまにあるじゃないですか。

どうしても自分の中の狂気を自分の身体から解放したくなる時。

 

で、椎名林檎の曲は彼女本人が持っている彼女の狂気を彼女独自の上質な気品でこれ以上ないぐらいに美しく包みながら慈しんでいて、だからその曲を聴くと、私は自分の中に生まれる様々なベクトルに向かって激しく抑えられなくなりそうな気持ちを落ち着かせられる、ことがある。

なんというか私だけかもしれないけど、椎名林檎の曲を聴くとその「狂気」を私の身体から、ほんの少しだけ、彼女の歌の持つ愛と上品さで包みながら解放できてる気がする。

 

ご本人は完全無欠のエンターテイナーって感じなのでもしかしたら私が「彼女の狂気」と思っているものすら彼女の計算によるものなのかもしれないけど。だけどそうだとしても私はそのアートに対するこだわりはある種の狂気ではないかと思う。

 

ていうか一応言っておくと私が狂気とを体の内側に抑えることが全くできずに生きてたらそんなのサイコパスの名作『アメリカン・サイコ』の世界ですよ。そこまで頭おかしくはないです。

 

世の中には音楽がないと生きていけない人と、音楽はあんまり聞かないし特にこだわりもないし別になくても平気っていう人がいると思います。

私は音楽がないと生きていけないタイプに所属している人間なのですが、なんで音楽がないと生きていけないのか、ということについてはそんなに考えたことがなかったんです。

でも、昨日の夜から、椎名林檎と自分の距離感を考えていたら、私にとっての椎名林檎は、「毒をもって毒を制す」薬なのかなと。そして椎名林檎だけに限らず音楽は自分にとっては薬として必要な存在なんだな、ということがわかりました。

 

 

 

ちなみに私は椎名林檎をカラオケで歌います。