One Of A Kind

ツイッターには長すぎるつぶやき、感想とか。エンタメ系はなるべくネタバレはしないことを信条にしてます。

ネコになりたい(劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち)

突然ですが、猫派ですか?犬派ですか?

私は断然ネコ派です。でもそんなこと言ってる私も昔は圧倒的にイヌ派でした。だって犬かわいいじゃん。あの子たち、めっちゃ人懐っこく寄ってくるし飼い犬ちゃんたちは「ご主人様がいないと僕死んじゃいます!」って感じで飼い主ラブ!ってなってるし(番犬とかは他人にはきちんと怖いけどさ)。別にネコも嫌いじゃなかったんですけど全般的に他人さまには懐かないし。自分のいる位置より高いところに居座られるのが比較的苦手なのでかわいいけどちょっと怖いと思ってました(だから鳥はあまり得意ではない)。が、ある時仲の良い友人がネコちゃんを飼いだしたんです。おうちにお招きしてもらった時に、雑種ということなのだけどとっても気品あふれる美人なその(当時)子猫ちゃんと遊んでいたら突然神からの啓示が下りてきたかのように完全にネコ派になりました。もうぐでんぐでんの泥酔状態のネコ好きになりました。

人生ホントに何が起こるかわかりませんね。一寸先は闇です。でもその闇が素敵なサプライズをくれる闇だったりするから人生辞められないわけです。

そんなわけでネコ好きになって早数年経つんですけど。何でも好き好き言ってると寄ってくるものなのかもしれませんね。別の友人が『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち』の招待券をくれたので去年の12月に行ってまいりました。

nekoaruki-movie.com

世界的動物写真家 岩合光昭氏がネコの目線で撮影した世界の街角のネコを紹介するNHK BSプレミアムの人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」。劇場版では、岩合氏が1年以上をかけて子ネコたちの成長を追った、番組ファンの間で人気の《津軽の四季》より“コトラとその家族”を中心に、岩合氏お気に入りの世界6カ国のネコたちの思わず笑みがこぼれる仕草や野生的な瞬間を捉えた映像を再編集。TVでは放送されなかった、選りすぐりの未公開シーンとともに、2017年7月の津軽ロケで撮影された“コトラの子どもたちの今”をご紹介します。青森県津軽の大地で、太陽を浴びて真っ赤に育ったリンゴのように愛くるしく、そして力強く生きるネコたちの姿を大スクリーンでお楽しみください。

(サイトより)

ということで、ネコ写真で有名な岩合光昭さんの『世界ネコ歩き』という番組を劇場用に再編集した映画らしいですね。「らしい」というのはオリジナルを見てないから確認できないのでどの程度の再編集なのかわからないからです。ただ、内容とかテンポとかはテレビで観るネコ歩きと似ていました。

「だったらテレビでいいや、わざわざ劇場行く必要ないじゃん」

と思ったそこのあなた。バカバカ!あんぽんたん!お前の母ちゃんでべそ!あのね、これネコ好きならホント映画館で観てよかった!ってなります(友達!ありがとう!)、かわいすぎて。あと岩合さんのネコたちへの愛がこんなにもあふれていたのか、とがっつり来ました。普段、家でこの番組をちょこちょこ見るんですけど、岩合さんの目を通してひたすらかわいいネコちゃんたちを見る番組なんですよ。ほんとかわいいの。ほんとかわいいんだけど、特にゾンビが出てくるわけでもなく、未確認生物が東京湾から出てくるわけでもなく、何も疑ってなかった彼氏が全くの別人だったことがわかるわけでもないんですよ。だから、ついつい”ながら見”になってしまうんですね。LINE来たら返信しちゃったり、喉乾いたらお茶入れちゃったり。ですが。映画館で観ると何が起こるかというと、もうネコちゃんに全力集中、そしてその映像を撮っている岩合さんの意識がシンクロするんですよね。ドキュメンタリーって怖いなあと思いました。ほんとに制作者その人が出ますね。

まずね、オープニングの雪の中歩く一匹のネコにやられましたよ。降り積もる雪の中を一匹で凛と歩いている映像なんです。なんだか動物というものの野性と、それに対する岩合さんの畏敬の念をとても感じる映像でした。まず涙もろい私はこの雪の中凛と歩くネコちゃんに対して恵まれた生活の中でぶーぶー文句言ってる自分が恥ずかしくなってつーんとくるものがありました。

その後、メインである津軽の「コトラ」家族の四季を追いかけつつ合間合間に岩合さんが世界で出会ったかわいいネコたちの映像が流れるんですけどね。えっとね、私、世界のネコのとこで一旦夢の世界に行きました。いや、いやいやいや、言い訳させてもらうとものすごい立て込んでて忙しい日が続いていたのと、あとネコが癒しすぎたの!!!ホントに夢なのか映像なのかわからないぐらい幸せなふわふわした時間があって、結構最後までふわふわしてました。正直下手なマッサージ行くより全然癒されたし体もなぜかとても楽になった。

 全般的にそんな感じで多少の起承転結やドラマがありつつもネコの日常をひたすら観る映画なんですが一番の感想はネコひたすらかわいい。2番目の感想はネコってすごい。というか動物全般すごい。昨今「保育園落ちた日本死ね」やら「ワーママ」やら「ワンオペ育児」やらありますが。自分はそうではないですが友人や親族を見ていると大変だな、こりゃどうにかしないといけないな、って日々思うんですよ。でもね、

ネコ、保育園、ない。

ネコ、常に、ワーママ。

ネコ、常に、ワンオペ。

なんですよ。だから人間だってできるはずだろ、とかそういうことをいう気は毛頭ないですほんとに。私は保育園入れなくて仕事に戻れない友人を見るたびに日本てバカなのかな?って思いますしあんな何もしない殿さま姫様状態の赤子を一人で育てながら人間界で普通の生活するのは無理ですって。ただ、ネコってほんとにお母さんが一人で全部やるんですよね。なんていうか知っていたはずなのに映像としてがっつり見るとただただ「すごいな」ってなります。しかも多産だから5匹とか育てるんですよ。いや人間が5つ子産んでみ?毎日白目でしょ。世の中のネコのお母さんたちに本当に畏敬の念しか起こりませんでした。あとね、

ネコは子供もほんとに命がけで生きてる。

と思いました。動物って基本的にそうですよね。人間と違って生まれた時から基本的に一つの個体として厳しい自然の中を生きて行かなきゃいけない。もちろん親は大切な子どもを守りますがさっきも言ったように基本ワンオペなのでご飯探しに出かけたり敵から子供を守ったりほかの子供の世話もある。そういう中で運の悪い子や弱い子は残念ながら生き残れない。自分が小さな頃ってそういう感覚ってなんとなく自然にもっていたように思うのですよね。遠足で山登りをするときに「この道から落ちたら死んじゃうのかな」とか校庭で遊んでる時にも「この土管から落ちたら死んじゃうかもしれない」とか。だけど、大人になって毎日PCとにらめっこして整備された街の中で暮らして食べ物もいつでもどこでも手に入るこの状況に慣れきってしまい、「生きる」ってそれだけですごいってことを忘れていました。

そして、同時にネコたちはとっても自由でした。ほんとーーーーに自由でした。お腹がすいたらご飯を食べるし、食べ物が見つからなかったら人間に媚びに行く。そこに登りたい樹があったら自分の体のサイズなんて考えない。迷子になるかなんて考えないし車にひかれるかもなんて考えないし眠くなったら寝る。シンプルに「生きること」が彼らのやっていること。生きることはシンプルなことで、彼らはやりたいことをやりたい時にやる。

自分がネコを好きなのはそのかわいさだと思ってたけど、そしていろんな人がすでに言っているから使い古しだけど、自分はネコの自由さにただただ憧れているんだな。と思いました。でも人間もさ、もっとネコみたいに自由に生きたらいいんだと思うの。べつに言いたい奴には言わせとけばいいんだな。と。だからやりたいようにやりましょうね。みなさま。人間はそんな簡単には死にません。

 

(最後に…申し訳ないのですが…たぶんこれ今はもう劇場ではやってないかもしれないです…観たの12月の中ごろだったから)