One Of A Kind

ツイッターには長すぎるつぶやき、感想とか。エンタメ系はなるべくネタバレはしないことを信条にしてます。

船出はいつだって嵐ぐらいがいい

日曜日、嵐が活動休止するというニュースを知ったのは千秋楽の大相撲の中継を見ていた時だったんです。

 

そう、ニュース速報。

 

流れるテロップが伝える嵐の活動休止そのものには驚きすぎて一周まわってどこか冷静だったのですが、嵐という”いち”グループの活動休止は天下のNHKがニュース速報で流すほどのものなのかということへの驚きの方が大きかったんですよね。ああ、嵐って本当に「国民的」アイドルグループなんだなぁ、と。また、時代が一つ終わるんだなぁと。

 

日曜夜も月曜朝もテレビで放映される記者会見の様子を見ていたので、大体の会見の内容は知っているしそれは読んでいただいている方々も同じかと思うので特に敢えて記事を貼る必要もないとは思うのですが、この青木アナウンサーの一連の記事は嵐のファンのみんなの心情も伝えているんだろうな、と。

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自分自身に当てはめた時に、自分が好きな芸能人が活動を休止する・引退するなどが理由で「一睡もできなかった」という経験が人生で今までないので(というかそこまで人生に影響を及ぼすほどたぶん芸能人を好きになったことがない)、そのインパクトは私にはわからないんですよ。でも、ネットだったりテレビだったりを見てると本当にそういう人はいるわけで。わからないけど、でも「一睡もできなかった」の方を基準に自分の経験と比べたら、それってたぶん彼氏と別れた時ぐらいだ、と行き着いたんですね。

……え、ちょっと待って…?!そう思うと嵐の存在に支えられていた人代表としての青木アナウンサーの一睡もできなかったが超わかる。そらしんどいわ!となる。青木アナウンサー、よく会社来たね。有給も使いづらいお仕事だもんね、がんばれ。と勝手に青木アナウンサーを応援したくなる。そして日本中に、いや世界中にいる多くの嵐ファンの人もさ、出社した人、よく頑張ったね。学校行った子、偉いよ。変わらず家事をするお母さん、お疲れ様です。そして何より受験生、頑張れ!となりますよね。

私の周りでいうと、海外に住んでいるけど嵐の大ファンで大好きすぎて日本語を習得し、さらには日本に仕事を見つけ海を渡って日本で「嵐活動」をしていた子がいるんですね。彼女はすでに母国に帰っているのですが、今回のニュースで一番に浮かんだのは彼女が無事かどうかでした。まあ結論から言うと瀕死の状態で、今すぐ日本に帰りたい、これから2年弱、何も逃したくない。つらい。と言って泣いているんですね。とりあえず来てしまえ、と無責任なことを言っておきましたが。ほんとに来そうだな、来るんだろうなあの子。

 

…と、そんな熱狂的なファンがたくさんいることは日本国民ならだれも知っているであろう嵐というグループ。なにより嵐の5人はファンの情熱を誰よりも一番知っている。でも、知っているけれどそれでも今回の活動休止を決断したこと、そしてそのきっかけとなった大野くんから他のメンバーへの告白。私はずっとニュースで会見を見ていて、お互いとファンと関係者とマスコミに敬意を持ちつつ冷静に経緯と気持ちを伝えていたこの5人にもんのすごい漢気を感じました。無責任の真逆にいると思った。

 

今いる場所のほうが楽なんですよ、たぶん確実に。成功はわかりきっていてみんなに必要とされていて愛されていて。人間だれしも変化って大変なわけですし。

 

それを全て捨てても、ファンが一度は悲しむとわかっていても自由を経験したいという自分の抗えない思いを行動に移した大野くん。そして、なんとか説き伏せることもできたに違いない、けれど違う方向へ進みたいと思うメンバーを止めることはできない、止めてはいけない、とそれを受け入れた4人。そして前に進んでいくためのベストな結論を出した5人。

 

情報番組を見ていた時、コメントで「30代の男は、いろんなことを考えていて、ここが動ける最後かもしれないといつも悩んでいる。だから大野くんの気持ちがとてもわかる」みたいなことを言ってる方がいたのですが、それは女も一緒だ。そして30代だけが悩むんじゃない。40代だって50代だって60代だって、10代だって20代だって悩んでる。

それでも多くの人は悩みながらももがきながらも日々の仕事とか暮らしとかに流されて、気づくと時間はどんどん過ぎていて、なんとなく乗ってしまった船で進んでしまった道を行く人が大半だ。もちろん進みたかった道に乗って高速で爆走してる人もいる。うまくいっていたらいい。でも、一度乗ってしまった船から降り自分の意志と力で進む方向を変更するのは本当に大変だ。進む方向を変えた時に、今持っているものが変わらず自分の手にあるかは全くわからない。成功、充実、のどかな日々、安定…。今持っているもの全部を失うかもしれない。

 

それはまるで嵐の中の船出じゃないか。積荷は全て波にさらわれてしまうかもしれない。船ごと沈むかもしれない。前は見えない。後ろにも戻れない。かろうじてどこかにたどり着いてもそこは荒れた無人島かもしれない。もう出来上がって自分の入る余地のない都市かもしれない。自分が求めている手に入れたいものが手に入る確率なんて低いもんだろう。それでもたぶん、人はどうしてもその船出をしたい、せざるを得ない時があるんだ、と大野くんを見て思った。わたしは大野くんの決断に自分はただ漫然と生きているのかも、と肩を揺さぶられた。

 

その一方で、ツイッターでは #大野くんの夏休み という非常に優しさで満ち溢れたタグができていて、ああ、もしかして大野くんは本当に夏休みを取りに行くだけなのかもな、と思ったりもする。

 

大野くんが夏休みをとるのかそれとも自分の進みたい道を見つけに嵐の中航海に出るのか、それは大野くんしかわからないし、大野くんもたぶんまだわかってないんだろうな、と思う。

 

けど、大野くんの進む道が、時に厳しいものであったとしても、笑顔に溢れている素晴らしいものであってほしいな、と嵐世代の私は願うばかりです。彼が船で新たな大地を目指して旅に出るとしても、釣りに出るとしても。